桶谷式ではおっぱいを止めていく方法を断乳というスタイルでお勧めしています。お子さんが「もういらないよ」と言うまで飲ませ続ける卒乳という方法もありますが、この方法はお子さんがなかなか止めてくれないことにも繋がり、結局、お母さん主導の断乳を選ばれるケースによく遭遇します。決して、卒乳という方法を否定しているわけではありません。桶谷式ではなぜ断乳という方法をとるのか、その理由をまずは知って頂き、お母さんご自身に「私たち親子はどんなスタイルでおっぱいを止めていこうか?また、それはいつがいいのか?」をよく考え、見定めて頂きたいと思うのです。

 これは私自身の経験談ですが、育児の過程で親が子に代わって『選択』を迫られる場面が多々あります。「果たしてこの子にとって、どの選択が最良なのか?本当にこれが正解なのだろうか?」といつも迷いながら夫婦で話し合い、良かれと思ったものを選んできました。「こうしたい、こうして欲しい」と訴えてくれたら、どんなに楽だろうかとよく感じます。これで良かったのかは今でもよく分からず、そもそも答えや正解というものがあるわけではないのかもしれません。私はまだまだ子育ての真っ最中なので、はっきりしたことは言えないのですが、親がわが子を想い、考え、悩み、出された苦渋の決断は間違いなく正解なのではないでしょうか。それはきっと今まで育ててきた親でしか出せない選択のはずだからです。そのあとに続く育児の責任を負うのも(と言うと大げさですが、その後も続いていく時間を共にするのも)その親であり、ほかの誰かの選択では育児を続けていけないのではないでしょうか。

 おっぱいを止める時も同様に、どんな方法が良いのだろうと悩んでみえるお母さまはとても多いことと思います。なんとなく皆がそうしているからではなく、これが私たち親子のおっぱいを止める最良の方法だときちんと選択して止めてもらいたいと考えます。昔から、卒業式は次へのステップアップのためのセレモニーとしてとても大切にされてきました。乳児から幼児への階段を一段上がるお子さまのために、想い、考え、悩み出された方法であることを切に願います。

 基本的に桶谷式では断乳の直前まで、乳質(おっぱいの新鮮さと味の良さ)を保つために3時間以内での授乳を薦めています。それはお子さんの消化管に入った母乳が2時間半から3時間で消化・吸収されていくからです。なので、母乳もだいたい3時間ごとに作られてきます。この摂理は哺乳類が授かった仕組みなので、私たちの力では変えることが出来ません。お子さんの成長と共に、おっぱいの分泌を促すホルモンの値は少しずつ下がり、ゆっくりですが乳房機能も下がっていきます。しかし、3時間ごとの分泌のリズムに大きな変化はありません。礎となる身体づくり・健康づくりをしているお子さんをより新鮮で美味しい、良質な母乳で育てて頂きたいというのが桶谷式の根本的な考え方です。お子さんの身体に入る最後の一滴まで良質な母乳をと考えると、授乳間隔を少しずつあけていったり、まずは昼間の授乳を止めていくといった方法では難しいのです。その為、桶谷式の断乳はお母さんをはじめ、ご家族でよく話し合って頂き、断乳日を決め、最後の授乳の後には一切飲ませないようにします。この方法については賛否両論あるとは思いますが、子を思う気持ちがそこには必ず存在し、決して一方的ではないことを知って頂きたいのです。ぐずったり、泣いたり、怒ったりしながらもおっぱいとバイバイしていく姿にお子さんのたくましく頼もしい成長ぶりをきっと感じて頂けることと思います。
 
 そして、ここで大切になってくるのが、断乳の時期です。身体的な発達の目安として、1歳の誕生日を過ぎ、2足歩行が安定したらとされています。季節は春・秋がお勧めです。夏は夏バテや脱水、夏風邪など、冬はインフルエンザや胃腸風邪など体調を崩しやすくなるからです。離乳食が完了し、ムラがあって当然ですが、ある程度の量を食べられるようになっていることも大切です。
 もう一つ重要なポイントが精神面の発達です。断乳は親離れの第一歩です。お母さんがこの子から母乳をとっても、もう大丈夫と思えた時がその子にとっての最良のやめ時だと私は考えます。よく分からないと訴えられることが多いので、「一回一回抱き上げて授乳し安心させてあげていた状態から、公園などで一人でちょこちょこと歩いて行ってしばらくは遊んでいられるけど、ふっと淋しくなってお母さんを探す→そこで微笑み返すお母さんを見つけ出し、存在を確認できたら、また安心してしばらくは遊んでいられる・・・くらいの状態になったらね」と当院では説明しております。表現が難しく、上手くお伝えできないのですが、とにかくお子さん誕生の日から寝不足になりながらも頑張って母乳を飲ませ続け、その成長を一番近くで見てきたお母さんに、断乳の時期を見定めて頂きたいのです。前述したように、その後のお子さんの対応をするのは健診で出会った保健師さん、栄養士さんなどや私ではなく、お母さんをはじめとするそのご家族だからです。早ければ良い、遅いと良くないというものではなく、身体の発育も精神面の発達も個人差があり、お母さん自身にわが子の成長・発達を見極めて頂くことで、それがお子さんにとって最良な断乳の時期となると考えるからです。もちろん、知識と経験からアドバイスはさせて頂きますので、ご安心ください。
 定期的に来院されているお母さんに断乳について尋ねられ、以上のようなお話をさせて頂くと「あかん、泣けてくる・・・」と涙される方が時々みえます。当たり前に行っていた母乳育児の意義をお母さん自身が感じ、考えられる良い機会になっていくのではないでしょうか。そして、今までの母乳育児が充実していて、十分に満足されているからこそ、止めてしまうことを考えるとちょっぴり淋しく、切なくなってしまうのだと思います。こんなお母さん方の姿に、改めて母乳育児の尊さと母の愛情の深さを教えられ、胸が熱くなります。この仕事の一番の喜びを感じる瞬間です。私自身もわが子への最後の授乳の際に、「今まで〇〇ちゃんがおっぱいをよーく飲んでくれて、こんなに大きくなってくれて、お母さんはすっごく嬉しいよ、ありがとうね。これが最後のおっぱいだよ、たーくさん飲んでね」と話したのですが、涙が溢れてきて、我慢しなきゃと思うのですが、止まらず、泣きながら最後のおっぱいをあげたのを今でもよく覚えています。子供は不思議そうに見ていましたが、「悲しくてじゃなくて、嬉しくて泣いているんだよ」と伝えると、飲むのを一時中断してティッシュペーパーを持ってきて、涙を拭いてくれました。その優しさと成長ぶりにまた泣けて・・・子供の成長には本当にいつも驚かされっぱなしです。

 長くなりましたが、ここまで読んで頂き、少しでも桶谷式の断乳の素晴らしさが伝わっていたらなぁと願うばかりです。桶谷式の断乳では、あくまで管理した上で間隔をあけていきながら、手技(マッサージと搾乳)をさせて頂きます。詰まりや乳腺炎などのトラブルを招かず、円滑に残乳処理をしていくためです。ですので、断乳前に一度、おっぱいの状態を診せて頂きトラブルがないかのチェックや時期的なご相談もさせて頂いております。
 すでに断乳された方の搾乳などのケアも行わせて頂きますが、マッサージによってもともとあったしこりが必ずとれるとはお約束できません。トラブルなく安心しておっぱいを止めて頂くためにも、断乳前のチェックをお勧め致します。

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